私これでも一応聖女ですが、落ちこぼれなせいで国外追放寸前です!
叩きつけてくる風に呼吸出来ずにしばらく我慢していると、人の声が遠くに聞こえる空き地に辿り着いていた。
ゆっくりと下ろされて肺に新鮮な酸素を流し込んでいると、落ち着いた印象だったトウハさんが少し慌てた様子で声を発した。
「無礼な真似をした事は詫びます。しかし時間がないのです。単刀直入に言います。この騒ぎはルリナ様が起こしたものです」
「えっ?!ルリナさんが?!」
こんなにもあっさりと敵の尻尾が掴めるとは思わず、呆気に取られてしまいそうになるのをぐっと堪えた。
「私もどこまでがルリナ様自身で行ったのかは分かりません。ただ何者かに吹き込まれている、そんな様子が見受けられました」
「吹き込まれている?一体何を?」
「ジルゲイル様を我が物にしたかったら、協力しろと言われていたようでした。ただその者が何者なのかが分かっていないのです」
ジルを……?自分のものにするために?
何を馬鹿げたことを言っているのだろうかと思うものの、ルリナさんならどんな手を使ってでも手に入れようとする。
それは自分の命が危険に晒された時点で、理解しているつもりだ。