私これでも一応聖女ですが、落ちこぼれなせいで国外追放寸前です!
潤う真っ赤な唇は弧を描き、にんまりとした気味の悪い笑みを浮かべた。
「なぁんだ……死んでなかったの?往生際が悪い腑抜けた聖女様」
包み隠さず私の死を望んでいたことを口にする彼女は、玉座で足を組んだ。
壁際にはける黒いローブ達はメリダに向かって頭を垂らし、主従関係を見せつけてくる。
「なっ……!」
黒いローブの男達が黒幕だと思っていたジルが思わず声を漏らし、剣先を今度はメリダに向け直した。
「リゼ。あいつはなんだ」
「学園に通っていた頃の隣のクラスの子……とでも言えばいいのかな」
「その言い方だと接点がほとんどない奴なんだろ。なんでそんな奴に、命狙われてんだよ」
「それは私も知りたいくらいよ」
どちらかと言えば私が彼女を恨む側で、向こうが私を恨む理由なんかどこにもないはずなのに。
私がメリダを虐めていたなんてデマを流された事で婚約者を奪われて……まあ要らないけど、王宮を追い出された私の方がよっぽど彼女を恨むわよ。
死ぬかもって思う時もあったし、仲間を守れない屈辱をまた味わう所だったんだから。