私これでも一応聖女ですが、落ちこぼれなせいで国外追放寸前です!
間合いを詰められどうにかこうにかギリギリの所で防御魔法を使ったけれど、私達の間に風を切るように一つの影が揺らいだ。
「てめぇ……よくもリゼを傷つけやがって――ただで済むと思うなよ」
低い声で唸るジルがメイに剣を振るうと、一気に優勢をもたらしてくれた。
どうやらメイの下っ端の黒ローブの男達は、もう片付け終わったようで床に伸びているのが見えた。
流石と言える速さで敵を制圧してしまうんだから、すごい人を味方につけちゃったもんよ。
「……そのクリスタル、各国の聖女が持つクリスタルの破片で出来てる。その核にリゼさんの力を閉じ込めているみたいだね。偽物でもこのクリスタルがこちら側にある以上、彼女にはもう力なんてものは存在しない」
冷静に判断するフェイムの言葉に、ジルに押されるメイはギリリと歯を噛み締める。
「どいつもこいつもあたしの邪魔をしやがってぇえええ!!!!」
ジルのロングソードを短剣では防ぎようもなく、メイは逃げるようにして距離を取ろうと魔法攻撃を仕掛ける。