私これでも一応聖女ですが、落ちこぼれなせいで国外追放寸前です!
そしてクリスタルの中にあった禍々しい黒い渦が実態を持ち、外へと飛び出すと、痛みを与える程の突風を撒き散らした。
突風は部屋を破壊し始め、玉座の間は空間を維持出来なくなり、終いには天井に大穴を開け真っ黒な空を映し出す。
「いやぁあああ!っ!」
突然クリスタルを持っている腕が、引きちぎられそうな程の焼ける痛みに悲鳴を上げると、すぐさまフェイムが魔法で私の手からクリスタルを引き剥がした。
それでも全身から痛みが取り除かれることはなくて、その痛みのあまり倒れそうになる私を、いつの間にか私の元へと駆け寄ってきていたジルが受け止めてくれた。
全身が今にも焼けそうなこの熱……鋭い刃物を全身に突き刺されるような痛み……一体何がどうなってるっていうの?
「リゼ!しっかりしろ!!」
遠のきそうになる意識をジルが必死に繋ぎ止めてくれているおかげで、なんとかまだ呼吸は続けられる。
でも身体が言うことを聞いてくれない……なんでっ!
「僕が時間を稼ぎます。ジル、撤退の準備を!」
「無駄よ!今あたしが解放したのは、暗黒竜の核。まだ核が完全系ではないにしろ、直に召喚される暗黒竜にその核が取り込まれれば、不死身な最強のあたしのペットが完成ってわけ」
「っう……!」
「聖女様でも暗黒竜の核に触れるのは、流石にやばいみたいね。あんたのクリスタルの力を源にして作ったせいなのか、余計に自分自身に害を及ぼしてる……なんだぁ、こんな簡単な方法であんたのこと殺せるなら、最初からその狙いでいけばよかった。まあ、結果オーライだし?良しとしよ」
突風が吹き荒れようとも動じることなく、天に描かれる魔法陣目掛けて核が、ゆっくり、ゆっくりと上へと登っていくのをメイはワクワクしたような目で見つめている。