私これでも一応聖女ですが、落ちこぼれなせいで国外追放寸前です!


私には何ら気持ちなんか抱いてなくて、その場を凌ぐものだったって言われれば、感情は動くはずなかった。


そしたらこんな気持ち抱かずに、ただの旅の仲間で終われたかもしれないのに。


――それでも……私はきっと、貴方に恋をしていただろう。



「好きよ、ジル。貴方みたいな人と素敵な恋をしてみたかった」


「!」


「さあ、行って。もう失敗はできない……皆を守るために私達は戦うの」



促す私にジルは一瞬だけ戸惑うけれど、その瞳に一つの光が宿り強く頷いた。


私からそっと離れたジルはフェイムと目配せをして確認をとるや否や、二人同時に私の言った通りに行動を始めてくれた。


ジルは核の足止めを、フェイムは魔法陣の書き換えを。


そして私は見つけた、ただ一つの突破口を掴み取るために軋む身体に鞭を打ち呼吸を整えながら目を閉じた。



『全てを守るのではなく、一つ一つ丁寧に守りなさい』



先代に言われた言葉が頭に浮かび、私は国の事をまず切り離してから、ジルとフェイムに加護の力を使う。


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