私これでも一応聖女ですが、落ちこぼれなせいで国外追放寸前です!


一本一本の糸を紡ぐように力を込め、その先に繋がった太い一本の紐を感じると、私はゆっくりと目を開けた。


代々受け継がれてきたこの力を、悪に染めてしまったこと……本当にごめんなさい。


私が落ちこぼれなせいで、と前の私だったら言うかもしれない。


でも今の私はそうは言わない、 この判断は――間違っていない。


元通りになった私のクリスタルをきつく握りしめ、一呼吸置いてから決心を固める。



「我が身に仕えし、クリスタルの力よ!」



高々とクリスタルを掲げながら、私の持つ力の全てをクリスタルへと注ぎ込む。



「この力が尽き果てるまで、全てを光で包み込め!《大天使の審判【ミカエル・ジャッチメント】》」



核の中枢に僅かに感じる、まだ私の力を受け入れてくれるクリスタルの力。


私はそこに全てを賭けるように、ありったけの力をそこへと注ぎ込んだ。


大天使の審判、それは闇に染まりかけたクリスタルに与えられし力や命令を全て解除させ、聖女の力を犯すものと判断されれば全ての力を消失させるというもの。




< 241 / 267 >

この作品をシェア

pagetop