私これでも一応聖女ですが、落ちこぼれなせいで国外追放寸前です!
視界が真っ白な空間に包まれたと思えば、目の前に立つその後ろ姿が優しく揺れる。
『いつ私が自分の命を粗末にしていいと教えた。修行し直した方がいいのではないか?リゼ』
「貴方は……」
流れる小麦色の綺麗な長い髪。
太陽みたいな暖かい優しい香り。
私がずっとずっと憧れていた、その人だ。
『まだやるべき事が残っているだろう。上出来とは言いきれない。彼女を元いた世界に帰しなさい。私がその魔法を導いてあげるから』
「……はい。エルゼナート様」
先代の名前を呼ぶだけで、溢れそうになる涙をぐっと堪えていると、少しだけ振り向いて頭を撫でてくれた。
『立派になったね。リゼ』
「っ……!!」
いてもたってもいられなくなった私は、その後ろ姿を抱きしめようと腕を伸ばし――。
『後は頼んだよ。これからも、しっかりやりなさい』
そう言い残して光となって消えていく先代の言葉に応えるように、私はぐっと身体に力を入れた。
身体に流れてくる光の力が、全身を熱くさせる。