私これでも一応聖女ですが、落ちこぼれなせいで国外追放寸前です!


何かを思ったフェイムが、動きを止めて私の元へとやってきたかと思えば、耳元でそっと囁いた。



「ごゆっくり」



何故か意味ありげに言われても、何がゆっくりなのかよく分からず首を傾げると、フェイムはどこか楽しそうな顔をして城内を散策に出かけて行った。


その後ろ姿が見えなくなったと思えば、急に耳元に吐息がかかる。



「リゼ」



どこか潤んだその声に心臓がドキリと跳ねる。


状況を整理すればこんなにジルと密着しているし、顔を見上げれば、当たり前だけどすぐそこにジルの顔だってある。


意識してなかったのに、意識してしまえば身体も心も正直だ。



「あんな場面で言われると思ってなかった言葉、もう一度聞かせてくれないか?」


「なっ、なんの話し?!私、疲れて記憶が曖昧で――」



どうにかこの場を凌ごうとするけれど、ジルが一つ嬉しそうに笑うと唇に温もりが触れる。




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