私これでも一応聖女ですが、落ちこぼれなせいで国外追放寸前です!
ベッドを見るだけで涙が滲むなんて、随分と落ちぶれてしまったものだ……幼い頃なんてベッドとか高級な寝具だと勘違いして入り込もうともしなかったのに。
荷物を下ろして悲鳴を上げる足を解放させるように、ベッドに飛び込むと優しい太陽の香りがふわりと鼻を擽った。
穏やかな気持ちに包まれている私にため息が上から落ちてきて、小さく頭を上げるとジルが首を横に振りながら荷物を下ろしていた。
「これだけの道のりでへばっているようじゃ、この先の旅は一人旅になるだろうな」
「ち、違うの。ベッドに興奮しちゃっただけ!」
「今は村があるからまだしも、大森林に近づくにつれ野宿が基本になる。浮かれるのも程々にしておけ。ああ、一人旅なら浮かれても問題はないか、俺たち関係ないしな」
こいつ、私のこと本格的に追っ払おうとしてる気持ち丸出しじゃない……!
仮にも私は契約主で、それなりの対価を支払おうって気持ちはあるというのに感じ悪い。