私これでも一応聖女ですが、落ちこぼれなせいで国外追放寸前です!
自己紹介の時は名前しか聞かされていなかったけど、フェイムも元は王宮に遣えていたご身分ってことは……結構凄い人ってことよね?
しかもジルと仲が良くて任務を任されるくらいなわけだし、宮廷魔道士っていってもいい人物なのかもしれない。
騎士団長に元宮廷魔道士ってどんな組み合わせなのよ……そんなお偉い二人に私の無力さを見せつけて、もし国に帰った後に言いふらされたりしたら、今度こそ居場所なくなるんじゃ?
身震いをしているとフェイムが私の考えを読み取ったのか、首を横に振る。
「安心して。身分はそこまで高いわけでもなかったし。今更改まるとかそういうのは無しにしてね?」
「でもやっぱり凄腕の持ち主なのよね……?」
「王様に良くしてもらっていただけの話。それなのに逃げ出した僕には、力があるとは言えないよ」
「今ジルとこうして旅をしているのはどうしてなの?」
苦笑混じりのフェイムにあまり触れてはいけない話題に思えて、すかさず話題を変える。
王宮に遣えていないのにジルと旅を共にするなんて、余程の事があったのかそれまた別の理由なのか。
「ジルが直々に僕の元へとやって来たんだ。安心して頼めるのはやっぱり僕しかいないって」
「二人は昔から仲がいいのね」
「僕は孤児でね。生きるために魔物が巣食う森で、食料を探し求めていた時に、魔物に襲われそうになったんだ。そんな所を彼の父に助けて貰って、彼の家で一緒に生活するようになってから、ずっと一緒に育ってきたからね」
そんな生い立ちがあるとは知らず、慌てて謝るとフェイムは今度は心からの笑顔を花咲かせた。