私これでも一応聖女ですが、落ちこぼれなせいで国外追放寸前です!
「別に過去がどうとか気にしていないから大丈夫だよ。リゼさんのご両親は、確か冒険者なんだよね?」
旅の道中で話した私の家族について、フェイムはちゃんと覚えていてくれて、話題を自然な流れで変えてくれた。
「ええ。幼い頃から色んな場所に連れていかれたの。命が何個あっても足りないって思うくらい、危険な場所にも連れていかれたこともあったわ」
愛娘と言う割には、豪快且つ適当に育てられて来たというのに、剣だけは絶対に握らせて貰えなかった。
お前は剣を握る者を守る女になれと、よく分からない父の言葉で誤魔化されて剣を握ることなく旅を続けていた。
その後一通の手紙が父と母の元に届き、私は聖女としての力の器であることを知らされ両親に背中を押されながら、王宮へと足を踏み入れた。
王宮に入ってからからは、もうかれこれ何年も両親とは会っていない。
手紙は時々送られてはくるものの、二人の居場所は絶対に書き記されてはおらず、私から手紙を送ることはできなかった。
今もどこかで子供のように瞳を輝かせながら、旅を続けているんだろう。
「仲のいい両親だったの。もしかしたらこの村の近くにいたりしてね」
「旅の途中で会えたら、それはそれで面白いね」
「向こうは私の顔忘れてる、なんてこともありそうだけど……」
それでもいい、どこかで私の噂を聞いて元気にやっていることが伝わればそれでーー。