私これでも一応聖女ですが、落ちこぼれなせいで国外追放寸前です!
会話がこれ以上両親の話に進まないようにと、私はこれからの事をフェイムに訪ねようと横を見たその時、ふと肩に重みがのしかかった。
ビクリと体が反応して、恐る恐る肩に目を向ければ寝息を立てるフェイムがそこにいた。
どうやら疲れ果てて緊張の糸が解けたのか、そのまま眠りに落ちてしまったらしい。
癖のないサラサラとした赤みがかった茶色の髪が私の首に悪戯するかのようにそっと触れてくるのに、何故か体温が上がった。
異性の人とこんなに距離が近いなんて……動揺しない方がおかしはずよ。
なんて自分に訳の分からない言い訳を言い聞かせながら、ドキドキする心臓を落ち着かせた。
……よく見れば見るほど、羨ましいほどに顔が整っていて少し妬いてしまう。
ジルといいフェイムといい、どうしてこんな顔が整っているわけ?
長いまつ毛が明かりによって仄かに煌めいて、目を合わせていないというのに瞳に吸い込まれそうな感覚に陥る。
その途端、何故か反射的にそれ以上フェイムの事を見てられなくなって、背筋を伸ばしながら薄暗い部屋の壁紙をただじっと見つめた。
壁と睨めっこしてるだけだというのに体温が少しずつ上がっていくのは、きっと肩にもたれかかっているフェイムの熱が伝わってくるせいだ。