私これでも一応聖女ですが、落ちこぼれなせいで国外追放寸前です!
先程と同じように、首元に私ではない人の体温が伝わってくるのが分かる。
それがジルの体温であるということを遅れて頭が処理していると、突如耳に吐息がかかる。
「……リゼ」
聞いたことの無いジルの甘いその声に一気に体温が上がり、身じろぐことすらもできない。
どうにか逃げ出したいのに呼吸するので精一杯になる自分に、鞭を打つ。
「か、からかわないでよ……!」
何とか振り絞った声で自分が怒ってることを伝えるのに、ジルは反応を楽しむように再び耳元で囁いてくる。
「耳、赤くなってる。俺のこと意識してるんだろ?」
「ちがっ……」
分かってるわよ、体温が異常に上がっているということくらい。
自分でも制御できない何かをジルがいじっているっていうことくらい。
こんな女を弄ぶような男に、ドキドキなんか、ドキドキなんか……!
「あんたの心臓の音、俺にバレバレだけど?」
お見通しとでも言うかのように、ジルが再び耳元で囁くと体がビクリと反応してしまう。