私これでも一応聖女ですが、落ちこぼれなせいで国外追放寸前です!
私のそんな行動を見て笑ったのかジルの肩が微かに揺れた。
ここはこんな顔を覆い隠すなんて逃げる真似なんかしちゃダメよ。
自分の心臓が高鳴るのも、ちょっとした高所恐怖症なせいだし?た、多分。
下から見上げたジルの睫毛が木々の木漏れ日に触れてキラキラと輝いて見えたり、整った鼻筋が下から見たらもっと高く見えるんだなとか、全然思ってないから。
綺麗な長い指はとても綺麗なのに、硬い手はやっぱり男の人の手なんだなとか全然思ってないから。
風に流れる髪がとても柔らかそうで、手を伸ばして触れてみたいとか全然思ってないから!!
ジルを見ないように下唇を噛み締めながら、胸元をぎゅっと握りしめて平常心よ戻ってこいと祈り続けて、暫く歩くと森の木のトンネルを抜けた。
どうやら森を抜けたらしく、森の香りの中に微かに別の匂いが混じっている。
姿を顕にした眩しい太陽の光に目を細めていると、ふと顔に影が落ちた。
「抱きかかえられてるのも案外悪くないだろ?」
私のことを見下ろしてくるジルの真っ直ぐな瞳と目があって、顔が一気に熱くなる。
「お、重たいでしょ?もうそろそろ下ろしてくれない?」
答え方に困った私は質問に対して触れることはせずに、顔が赤くなっているのを隠すように俯いて、いい加減下ろしてくれないかと訴える。