私これでも一応聖女ですが、落ちこぼれなせいで国外追放寸前です!



フェイムと共にジルの元へと足を動かし、遠ざかっていく馬車を見つめた。


「随分と親しい間柄なのね」


「あんたの目にはそう見えたのか?」


よく分からない微かに残っていた怒りをジルにぶつけると、ジルは言葉と共に重たいため息を零した。


「嘘よ。凄い嫌そうな顔してたもの。獣人ってだけであんな差別するなんておかしな人に、嫌な顔をするのも分からなくないわ」


「この領地の領主の娘だ。やけに俺に媚びを売りつけては下心丸出しにしてくる厄介な女だ」


「いいの?あんな態度取っちゃって。騎士団長の座を下ろされたりとかしない?」


「貴族の娘が、そんなことをする知恵も権利もない」


やけにイライラを表に出す姿に、少し意外な一面を見ている気がして思わず笑ってしまう。


< 88 / 267 >

この作品をシェア

pagetop