大人になる方法
授業が終わって、2人に声をかけた時
ガードはかたくしておこうと思っていた。


もう、偽物はいらないから。


だけど、ニイナが“私たち、友達になろうよ”と言ってくれた時、そのガードは呆気なく崩れた。


私と同じような疑いの目で見ていると感じたから。


見下した目で見られるよりかはずっといい。


緊張が少し解けたのは、ニイナの隣にいて
メモをくれた張本人、凛のおかげ。


凛は、疑いのうの字のもない
真っ直ぐ過ぎる目で私を見てくれている。


素直に嬉しかった。


誘われるがままカフェに行き、
向かう途中には凛からの質問攻めがあった。

「いくつ?私たちは今年18歳なんだけど。ほら、通信制って色んな人通うから一応…」

「今年18歳、同い年」

「てか、その靴ヒールは何センチ?」

「 10センチかな」

「まつ毛長いよね、マスカラ何使ってる?」

「〇〇使ってる」

 ………


カフェに着いて席に座った時だった。


「ねぇ、心!彼氏いる?」


凛は間違いなく私にこう聞いてきたんだ。

聞き間違いなんかじゃない。


「…。」

「ん?…心?」

「いないよ。あのね、こういう時って“恋人いる?”の方がいいと思うよ。」

「え?」

「細かくてごめんね、でも大事な事だと思うの。必ずしも女の子が男の子を好きになるとは限らないんだよ。」

「心ちゃん、女の子のこと好きなの?」


凛がそう言った瞬間、お店にいた人たちの雰囲気と、微かにニイナの表情が一瞬変わったような気がした。
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