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さくらんぼの香り
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さくらんぼの香り
「おかえり。」
「ただいま………」
長い講義も終わって、さあ今日もしっかり働こう!なんて気合いを入れながら事務所に向かえば、
事務所の外観を何やらクリスマス仕様に飾り付けをしている蒼空さんがいた。
「あら、おかえりなさい月姫ちゃん♪」
ヒラヒラエプロンを身に纏って大きなクリスマスツリーの飾り付けをする心音さんに、もう一度「ただいまです」っと返事をする。
「今年もやるんですね、陽葵何でも屋のクリスマスデコ」
「毎年やってるからねぇ~今日は朝からずっとこの作業よ」
朝から取り掛かっているらしいそれは結構進んでいて、あと少しで完成しそうだった。
旅行が終わって2週間が過ぎた頃、
もー季節はクリスマスシーズンになっているらしい。
「じゃあ、月姫ちゃんはコレつけてきてくれる?」
「はーいっ」
渡されたそれはイルミネーションカーテンで、夜になって電気をつければキラキラと鮮やかに輝いてくれる物。
去年もコレをつけたから、どこに付けるかは聞かなくても分かる。
(えーっと……あ、あったあった)
取り付ける部分を見つけて、腕を伸ばすけれど
「と、届かない……!!」
154センチしかない私の身長では、その部分に取り付けるには一苦労で。
「貸せ。」
「あっ、」
私の手から取り上げられたそれは、
ちょっと高めの位置にある取り付け部分に意図も簡単に取り付けられた。