request
私の真後ろに人の気配。
その人によって生まれた影に、私の視界が少し薄暗くなる。
「チビは大変だな」
「ムカつくけど言い返せない……」
そうか、
去年も蒼空さんに付けてもらったんだっけ。
「心音と交換してもらえ。ツリーの下辺りまだ付けれてねーから」
「あ、そうだね。そーしてもらう…」
素直に聞き入れた私は、心音さんの元に行こうとして振り向く。
と、
「っ、!」
目の前に、蒼空さんがいて
蒼空さんも急に振り向いた私にびっくりしたのか、一歩後ろに下がった。
「………急に振り向くな」
「だ、だって、まだ近くにいると思わなくて…!」
ち、近かった………
旅行の日以来のその距離に、久々にドキッとした。
「仕上がってきましたねぇ~」
「あ……、陽葵さん!」
その声に、逃げるようにしてその場から離れた私。
「おかえりなさい、月姫さん」
「陽葵さんもおかえりなさい!」
そう言うと、ニコッと微笑んでくれる。
どこか出掛けていたのだろうか、片手に数枚のチラシ?を持って帰ってきたらしい陽葵さんの姿。