request




あー、もう一個食べたかったのになぁ…



なんて思いながら、久々のお客様に少しワクワクする。




「私、行ってきます!」




そう言って、口の中にあったカップケーキを飲み込むと、そのまま一階へと降りた。


次はどんな依頼なんだろう、と胸が高鳴る。




(…………よしっ!)




気合いを入れて、扉を開けたー。




「ようこそ陽葵何でも屋……え?」




お決まりのフレーズを言うのと同時に、目の前に立つ着崩された学生服姿のお客様に目線を向けると、



ギロリ、鋭い目つきで睨まれた。



(ヤ、ヤンキーがいる!!!!)




「………ここで合ってるか?」


「え。」




ヤンキーくんがチラシみたいな物を私に見せつけてきたから、ちょっと怯えながらもそのチラシに目を向ける。



と、そこには"陽葵何でも屋"と大きな文字で書かれていたので、




(そーいえば、今日陽葵さんチラシを持って帰ってきてたような……)




陽葵さんがそれを配りに行ったのか、と気づく。




「あー!合ってますよここで!!」


「……そっスカ………」




てことは、お客様って事でいいんだよね?




「えーっと……なにか、依頼ですか?」


「………………」




何も言わず、コクンと頷いた彼。



見た目によらず、緊張しているらしい。

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