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………けど、喋ってみてわかる。


この人は全然怖くないし、謙虚で人見知り。
そして、恥ずかしがりや。



人は見た目で判断しちゃダメなんだって事を再度知らされる。




「まぁついていくのはいいとして。何買うか目星はつけてんのか?」


「…………コレ」




神茂さんが指差す先には、片耳につけている計3個のピアス。




「………ピアスをあげたいの?」


「…この、十字架の……」




十字架……?



どれだろう、と再度そのピアス達を見れば、その中の1つにシルバーの十字架を見つけた。


真ん中辺りに赤く輝く、小さいハート型の物が付いている。




「……神崎サン、このピアス可愛いって言うから……」




神崎(カンザキ)さん。それが彼女の名前なのだろう。




「えーと、それと同じピアスが欲しいってこと?」


「……耳開いてないからイヤリングが欲しい…デス」


「イヤリングねぇ……」




神茂さんは敬語というものに慣れてないのか、今日のために練習してきました、そんな感じの話し方をする。




「お前、そーゆーの売ってるお店知らねーの?」


「ん~…私あんまりアクセサリーとか付けないからなぁ…。


あ、でも一軒だけ知ってるかも」




この間、アクセサリー好きの千恵に連れて行ってもらったところ。


確かアクセサリー専門店だった気がする…




「じゃ、そこ行くか」




立ち上がると、上着を着て出かける支度をする蒼空さん。




「え、今から?」


「閉店までまだ時間あんだろ。ほら、お前もさっさと着替えろ」


「わ、分かった」




「ほら。」っと投げ渡されたのはさっきまで着ていた私の上着。


それをキャッチすると袖に腕を通す。



テキパキと動く彼を見て、

やっぱり先輩だなぁと感じた。

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