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-***-




「良かったね~思ってた通りの物で」




仕上がったアクセサリーを取りに来た私たちは、その仕上がりを見て驚いた。


神茂さんが想像していた物を忠実に再現されていて、それを見た瞬間「すごっ!」と声をあげてしまった。




「いろいろと、ありがとう…ゴザイマシタ…」


「いえいえ!喜んでくれるといいね~」


「………………」




照れた様子で頬を少し赤く染めると、


「では……」と頭を下げて綺麗にラッピングされている物を大切に持つ神茂さんを見送った。




「最後まで不慣れな敬語使ってたね」




そう隣にいる人に声をかける。




「結局俺もついてくる羽目になったじゃねーか…」


「だ、だって!欲しい物ここにあるんだもん!!」




そう。


あの日蒼空さんの提案を断った私は、"買って欲しい物がある"という理由で今日ついてきてもらった。




「んで…なに?買って欲しい物って」


「…これ、コレが欲しい!」




まだアクセサリーショップにいた私はこの前気になっていたさくらんぼのイヤリングを見せた。




「この前のやつじゃねーか」


「うん、忘れられなくて」




値段は中学生でも買えそうなくらいのお手頃価格で、


買いに行こうと思えば全然買いに行けたんだけど…



(…もう少しで、クリスマスだから。)



クリスマスプレゼントとして、


蒼空さんから何か欲しかったの。
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