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「ん。」


「あ、ありがとう…!」




いつの間にか買いに行ってくれてたみたいで、私の手のひらに小さな紙袋を乗せられた。


その紙袋のデザインが今のシーズンであるクリスマス仕様になっていて、



(この紙袋も大切に置いておこう)



神茂さんと同じように、


嬉しくて嬉しくて大事にそれを抱えると




「お前、ほんと子供みてぇ」




その姿を見て蒼空さんはフッと笑った。




「ま、また子供扱い…………」




不意に見せるその優しい笑みに、いつもドキドキさせられてしまう。




「ま。用も済んだし、帰るぞ」




そんな私をよそに、蒼空さんは駅の方へと歩き出しちゃって



(もう少し、一緒にいたいな…)



そう思ったけれど、引き止める理由がないから渋々後ろをついていく。


最寄りから一駅のところにいたものだから、


悲しくも全然時間はかからなくて、すぐに最寄りに着いてしまった。



(あー…もうバイバイか…)



買ってくれた物を軽く握りしめて、寂しくなる私。

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