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事務所の中に入ると、まだ入り口なのにチェリーパイの甘い香りがした。
「月姫ちゃんお疲れ様♪………あら?蒼空もいるじゃない」
私だけだと思っていたらしい心音さんが蒼空さんの存在に気がつくと、すぐに蒼空さん用のお皿を用意する。
「あんた今日休みじゃなかったの~?」
「あ、私がついてきてってお願いしたんです」
「あらそうだったの?仲良しね~」
いつもの席に座ると、テーブルの上にまだ切られてないチェリーパイを持ってきてくれた。
「わぁ…!可愛い!!!」
「でしょぉ~?さくらんぼが安かったからいっぱい買っちゃったのよ♪」
ケーキ屋さん、お洒落なカフェ、そんな所で出てきそうな。
それくらい見た目も可愛くて美味しそうなチェリーパイに思わず写真を撮ってしまう。
と、
「お前、さくらんぼブームでもきてんの?」
私の隣の席に腰をおろした蒼空さん。
「だって見た目可愛いじゃん」
「可愛いって思いながら食べたことねーわ」
むしろ美味いだろ。そー言ってチェリーパイをつまみ食い。