request




「あ!ちょっと!写真撮ってるのにーー!!」


「そんな何枚も撮っても見返すこととかねーよ」


「まぁそうだけど……」




つまみ食いしたことによって一部が欠けてしまったそれ。


もっと上手に撮りたかったのに…




「さぁ取り分けましょう♪…って、ちょっとここ欠けてるじゃないの!」


「蒼空さんがつまみ食いしてました~」


「あ、バカ!言うな!」


「じゃあ蒼空はコレだけね」


「おい!少なすぎるだろ!!!」


「月姫ちゃんはその分多めに♪」


「やったぁー!!!」




渡されたそれは蒼空さんの物よりも2倍大きい。




「陽葵さんも、どーぞ♪」


「ありがとう。……なんか、僕のもちょっと大きいね?」


「陽葵さん、俺のと変えてください」


「ダメよ蒼空。つまみ食いしたからそーなるのよ」




ご主人に怒られた犬のようにシュン…っと悲しい顔をする蒼空さん。


そんな顔初めて見るから思わず笑ってしまった。




「…………何笑ってんだよ」


「いや、何でも、ない………ぷっ」


「……………」




ギロリ、隣から鋭い目つきで睨まれているけれど




「美味しい~!ほっぺ落ちちゃいそう」




蒼空さんよりも大きいチェリーパイをモグモグと食べれば、チッと舌打ちされた。

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