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-***-




「なんか…今日の月姫、いつもより化粧バッチリ決まってるね」


「え!そ、そうかな…」


「しかも、イヤリングまで付けちゃってさ」




ツン、と私の耳に付けられたさくらんぼのイヤリングを指でつつく千恵。


だってコレ蒼空さんが買ってくれたから…


クリスマスのこの日に、初めて付けたかったの。


この日までレポートやらテストやらで結構バタバタした日常を過ごしていたけれど、


どれもこれも苦痛に思わなくて


楽しみな事があれば辛い事もそつなくこなせるらしい。




「そんな月姫に!ジャーン!クリスマスプレゼント~!」


「え!待って、私も千恵に用意してたの!」


「まじ?私達ほんと気合うね」




クリスマスだし、いつもお世話になってる千恵にクリスマスプレゼントあげようってずっと前から計画していた事なんだけど


まさか千恵も買っていたなんて…


思わず笑ってしまう。




「ほんと、いつもありがと千恵」


「こちらこそ!はい、コレ。ちょうど今の月姫に似合うよ」




今の私に似合う物?


なんだろ…と思って中を開けると、




「香水!?」


「そ♪しかも、さくらんぼの香りなの」




今日のイヤリングと一緒だね~、ってまたさくらんぼのイヤリングを指でつつく。



「嬉しい…最近さくらんぼブームきてたから」


「ほんと?じゃあ良かった~」




ブームきてたのは知らなかったけど、って笑う千恵。



(今日つけていこう……)



甘い物好きの蒼空さんなら気づいてくれるかもしれない。

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