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(このまま寝かしてあげた方がいいよね)



何か毛布とかないかな~


三階に布団はあったけど、今あそこに近づくとまた襲われかねないし……


と、




「っ!!!びっ、くりしたぁー…」




突如、携帯の着信音が二階に響き渡ってビクッと驚く。


その音はテーブルの上に置いてある携帯から鳴っていて、近くにいた私はその画面を見てしまった。




(あ……、華さんからだ…)



その携帯は蒼空さんの物で、画面には"華"っと名前が書かれている。


電話だ………




「ん………なに、」




その音に起きたらしい蒼空さんは、起きたばかりで視点が定まっていないらしく、キョロキョロと見渡す。


……渡してあげなきゃ。




「蒼空さん、電話だよ」


「ん…?あぁ…サンキュー……」




私の手からその携帯は取られて、目を擦りながら華さんからの電話に出る蒼空さん。




「…もしもし、」




私聞かない方がいいかな…?


聞こえないようにしたいけれど、テレビもつけていないこの空間はとても静かで、




"蒼空助けて!!"




私にも聞こえてしまったその言葉。



(え。なに、どーしたの?)



怯えているような、そんな口調で聞こえたものだからビックリして蒼空さんを見ると




「今どこ」




私にはわからない"何か"を蒼空さんは理解したみたいで、眉根を寄せて少し大きめの声で話す蒼空さん。

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