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電話をしながら上着を着始めると、私の横を通り抜けて階段を降りて行く。



え、まさか、外に出る気なの!?



パッと窓の外を見るけれど、未だに吹雪いている状態。




「蒼空さん!どーしたの!?まだ吹雪いてるよ!!」




蒼空さんに声をかけたけれど、全く聞く耳を持ってくれなくて




「悪い、鍵閉めといて!」




そう言って、吹雪の中行ってしまった。



(ど、どーしたんだろう……)



"助けて"と聞こえたその声が、


未だに私の耳にも残る。



しかも蒼空さんがあそこまで慌ててるなんて……



私も後をついて行こうか、とも考えたけれど、行ってしまうと迷惑になってしまうかもしれない。


そう思うと足が動かなかった。


とりあえず、言われた通りに鍵を閉める。



(……帰ってきたら話を聞こう)



華さんの事も蒼空さんの事も心配で寝ずに起きていたけれど



その日、蒼空さんが帰ってくる事はなかった。

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