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窓から差し込む光に、もー朝なんだと気づく。


時計を見ると、時刻は6時ちょっと過ぎ。


蒼空さんは、まだ帰ってきていない。



(大丈夫なのかな、)



何が起こったのか、それすらも分からなくて。


あの時何がなんでもついていけば良かったと後悔する私。


外を見れば、昨日の吹雪はなかったかのよう。


地面には雪が大量に積もっていたけれど、今の私は全然喜べなかった。



(そろそろ家に帰らないと、)



一旦家に帰って、今日の講義の教材を取りに戻らなければならない。


心音さん起こした方がいいかな?


けど、また襲われたりしたら今度こそ一巻の終わりだ。


酔いはもー冷めてるはずだけど、確証がないから置き手紙を置いておくことに。


事務所を出る際、鍵は閉めていた方がいいと思って、外から鍵をかけると事務所の中と繋がっているポストにその鍵を入れる。


陽葵さんは鍵を持ってるはずだから入れると思うけど、


一応、ここに鍵があるってことを気づいてもらえるようグループLINEに連絡入れておこっと。




『おはようございます。昨日は雪が凄かったので1日事務所に泊まらせていただきました。鍵はポストに入れています。』




そう送信して、家へと向かう。



その途中、携帯に一件の通知がきたことに気づき、携帯を開けると




『了解』




ただ一言だけ、蒼空さんから返信がきていた。



(あ、良かった………)



帰ってこなかったから、何かあったんだと思って心配したけれど、どうやら大丈夫みたいでホッと安心する。



何があったのかは、次会った時に聞いてみよう。


重たかった足取りが、少し軽くなった気がした。

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