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「まったく……

あ、そうだ。蒼空は大丈夫そうでしたか?」


「へっ!?あー…はい、帰る頃には熱は下がってたと思います…」


「そうですか、じゃあ安心ですね」




急に話をふられてビクッと反応してしまう私。


陽葵さんは持っていた心音さんの服をソファーの上にドサッと置いていた。



それにしてもすごい数…



服と言ってもコスプレ衣装なので、かさばる物ばかり。


陽葵さんが何着持って降りてきたのかは知らないけれど、見る限り5着以上は確かだ。





「………あの、あそこの棚に探し物があるんですけど…触ってもいいですか?」




"あそこの棚"というのはもちろん蒼空さんが言っていた所。


一応許可は貰っておいた方が良い気がして。




「もちろん、いいですよ。ちょうど今週から掃除ウィークにしようと思っていましたので、月姫さんにはあそこの棚を整理してもらおうかな」


「了解です!!!」




まだ事務所が閉まるまで時間があるため、すぐに作業に取り掛かる私。


お客さんが来ないからできることで、


できればこのまま誰も来ないでほしい。



(蒼空さんが隠してるもの……どれだろう)



その棚に置いてある物は、沢山のファイルに保管された書類や文房具、ちょっとした観葉植物など。


それくらいなので、すぐに見つかりそうな気がする。



……けれど、


軽く見ていた私は後で後悔することになる。

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