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「ちょっと行ってきます!!!」




慌てて三階に続く階段を駆け登ると、


なにやら上から喧嘩のような話し声が聞こえてくる。




「それはいるのぉおおおお!!!」


「いらん!捨てろ!」


「ひ、ひどい…!私のナース姿見たいって言ってたじゃないの…!!!」


「気色悪いこと言うな燃やすぞ」


「いやぁああああ!!!」




ゆっくりと3階のドアを開ければ、押し入れの中にあった心音さんの服を袋に捨てる蒼空さんと


それを泣きながら止めようとする心音さんの姿。




「あ!!月姫ちゃぁぁぁん!!!!」


「わっ、!」




心音さんは私を見つけるや否や、飛びついてきてまた泣き始めた。




「蒼空ったらひどいのよ!!私の宝物を捨てようとするの…!」


「そ、蒼空さんそれはちょっとやりすぎじゃ……」




チラリと蒼空さんを見れば、


たったの3日だけど、久々に見たその顔がいつも通りカッコよくて胸がいっぱいになる。



(か、かっこいい………)



そんな彼と目が合えば、ドキッと胸が鳴った。




「こうでもしないとコイツ片付けねーんだよ」




……確かに、全然進んでない。



私と同じで2日以上かけて掃除をしていたはずなのに、未だに山盛りの服達を見て一向に変わった様子が見られない。




「心音さん、この二日間何してたんですか…」


「違うの!整理はしたんだけど、どの服達も捨てないでって声が聞こえるの!!


……って、

やめてーー!!!
蒼空一旦手を止めてーー!!!」




何わけわからん事言ってんだ。



なんて言いそうな顔で、袋に心音さんの服を放り込んでいく蒼空さん。




「じゃあ、五着だけ残して他はお家に持って帰りましょう…!!それなら捨てずに済みますよ!」


「うぅっ……分かったわ…そうするうぅ……」




なんだか心音さんを見ていると可哀想にも思えてきた…


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