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「別に、何もしてねーけど」


「何もしてないですっ!!!」


「あらそう?

……って!

そんなことよりも!!!虫!虫が出たぁああ!!!」


「うっせーなぁ………」




わあわあと騒ぐ心音さんに溜め息を吐いたかと思えば、私の隣を通り過ぎて


ポンポンっと頭を2回軽く叩かれた。


特に意味はないのだろうけど、たったそれだけでドキドキしてしまう私はおかしいと思う。




「どこにいんの」


「そ、そこ!窓のとこ!!わっ!ちょっと!飛んできたぁああ!!!」




騒がしい三階。


蒼空さんはその虫を捕まえに三階に行ってしまった。


残された私はただただ階段で立ち尽くす。



(どうしよう、これから……)



好意があることがバレてしまった。


どうやって接すればいいんだろう…



(蒼空さんも私の事が好きだって、そう思っていいのかな)



さっきの会話からして、
そう受け入れても仕方がないよね?


てことは…両想いってこと?



(いや…でも…蒼空さんの事だからからかわれているだけかも………)



もしそうだとしたら、ショックが大きすぎる…



(期待はしないでおこう)



けれど、そうは思っても、


期待はしてしまうわけで。



(両想いだと、嬉しいなぁ…)



そう願ってしまう。


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