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さくらんぼは好きだけど…そうじゃなくて、




「私を思って買ってきてくれたのが嬉しいの……」




思っていた事をそのまま伝えると、なぜか蒼空さんからの反応はなくて、


顔を伺おうと恐る恐る目線を向ければ




「なっ…!見えない……!」




蒼空さんの手によって目元を隠される。




「蒼空さん…!見えないって…」


「うっせー、」




……もしかして、照れてるの?




「か、顔見たい…」


「無理。」


「無理じゃなくてっ…、ちょ、つよっ…!!」




無理矢理剥がしてやろうと思ったけれど、蒼空さんの力には敵わなくて結局剥がせず。


パッと手が離れたかと思えば、蒼空さんの顔はいつもの表情になっていて




「………ケチ」


「いーから、帰るぞ」




手を差し伸べてくれたから、ソッとその手を掴む。


蒼空さんの手は少し暖かくて、照れていたときの名残が残っているみたい。


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