request





_________________________




「お、おじゃましまーす……」




蒼空さんの部屋に来たのは2回目。


前に来た時とほとんど配置は変わってなくて、恐る恐る中へ踏み出す。




「荷物とかその辺に置いといていーから」


「あ…うん」




その辺って言われても…


キョロキョロと周りを見渡して、とりあえず隅っこの邪魔にならないところで荷物を置いた。




"じゃ、一緒に年越すか"



蒼空さんの提案で、すぐに決まったソレ。


そのまま自分の家に帰って泊まりの準備をしてきたんだけど…



(なにこれ…嬉しすぎるっ…!!)



1人だけで新年を迎えるはずだったのに、まさか蒼空さんと一緒に居れるなんて…!



ニヤける顔を必死に堪えて、隠す。



お泊まりってことは、もしもの事があるかもしれないよね…?



そう思って1番お気に入りのランジェリーを持ってきたけど、



(いや…まさかね…付き合ってそんな日も経ってないしね…)



そんな風に考えないと、一緒にいることに緊張してしまう。




「なにしてんの?」


「へっ…!?いや!何も!!」




ずっと隅っこにいるから怪訝に思ったのか、私の顔を覗き込む蒼空さん。


そんな事を考えていたなんて恥ずかしいから、必死に隠した。




「とりあえず、スーパー行くか」


「え、なんで?」


「なんでって、大晦日は年越しそば食わなきゃだろ」

< 224 / 660 >

この作品をシェア

pagetop