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「……テレビつけていい?」


「ドーゾ」




手元にあったリモコンでテレビをつけると、大晦日の時しかやっていないバラエティー番組が放送されていて、


少しだけ静かだった空間にテレビの笑い声がプラスされる。


それを見て意外にも蒼空さんが笑っていたから、



(なんかこーゆーの…いいなぁ)



同棲してるみたい…なんて思ってしまった。



(私もテレビ見よーっと)



視線をテレビに移せば、



(あっ…)



テレビ台の上に置かれたあの遊園地のカチューシャを見つけて、


飾ってくれてるんだ…っとちょっと感動した。




「ねぇ、蒼空さん」


「ん?」


「遊園地に行った時、私に選んでくれたカチューシャあったでしょ?

…なんであれを選んでくれたのかな~って」




この間、聞こうとして聞けなかったソレ。


蒼空さんは目線をテレビから私へと移す。




「どんなやつか忘れたわ」


「えっ!?」




まさかの、忘れられてる…!!


そんな事を言うから、急いで携帯で調べてそのカチューシャの画像を蒼空さんに見せた。




「こ、コレっ!!!」


「………………」




ジーっとその画面を見つめる蒼空さん。


思い出したのか「あぁ、ソレか。」っと呟いた。

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