request






することもなくなって


テーブルを綺麗に拭いたり、お皿を洗ったりとしていれば




「すみませーん……」




と、少しオドオドとしている女の人に声をかけられた。




「あ、はい!カフェのご利用ですか?」


「あ、あの…ちょっとお聞きしたいことがありまして……」


「なんでしょう?」


「昨日ここでカフェを利用したんですけど…ポーチか何か落ちていませんでしたか…?」


「ポーチ…ですか?」




ポーチ……



そういえば、昨日レジ前に落ちてたって湊くんが言ってたっけ。



確かクマのマークの。




「そのポーチの特徴とかありますか?」


「えと…クマのマークが付いていると思うのですが……」


「ああ!ありますよ!ちょっと待ってて下さいね~」




確か裏の部屋にあった気がする!



うる覚えだけどその部屋に行けば、やっぱり机の上に置かれていて




「おまたせしました~!」


「あ!ソレです!!」




女の人は笑顔でそのポーチを抱えていた。



後で落とし主見つかったよって湊くんに言っておかないとっ




「ありがとうございました…!


あと…、パン美味しかったです。


今日もいっぱい買わせて頂きます…!」




女の人は再度頭を下げて、パン売り場の方へと行ってしまった。




(パン、美味しかったって…!)




なんだか私も嬉しくなる。



どうやらその言葉が聞こえていたらしい浅川さんは目元をキラキラと輝かせているし、




「よし!!新作ケーキも美味しいの作るぞ~!!」




気合が入ったらしいお父さんを遠くから睨んでいる湊くんが見えた。



それもいいけどさっさと手伝え……



そんな事を思っているんだろうな……

< 290 / 660 >

この作品をシェア

pagetop