request
ホウキとちりとりを借りて外へ出ると、
店の中と外の温度差に身が震えた。
「さむー!」
上着は着てきたけれど、顔と手が寒い。
外掃除してくるって言ったのちょっと後悔……
(早く終わらせて中に入ろっと…)
サッサッと手際よく落ち葉をかき集める。
やっと半分くらい進んだかな~って時に、
「月姫さん!ちょっとちょっと!」
「え、あ、はい!」
店内から浅川さんがひょっこりと顔を覗かせていて、私を手招きする。
「試作品完成したんだけど、良かったら食べてみて!」
「え!いいんですか!!」
カフェスペースの裏に私と湊くんの二つ分のケーキが用意されていて、
「美味しそう~!!!」
見た目はお洒落なカフェのケーキみたいな、
本格的でなんだかとても豪華に見える。
「カフェの方今お客さんいないでしょ?
だから今のうちに食べてみて!
よかったら後で感想教えてね~!!」
ヒラヒラと手を振ってパン売り場の方へと帰っていった浅川さんは、満面の笑み。