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「美味しそうだね!!」


「………はい」




湊くんも新作のソレを見て、優しい笑みを浮かべてた。




(早速食べちゃお~っと♪)




置かれているフォークを手に取れば


寒さで手がかじかんでいるからか、ソレはカシャーンっと音を立てて落ちた。




「……大丈夫ですか?」


「あー…ちょっと手がかじかんじゃって」




うー…早く食べたいのに……



ソレを拾おうとしゃがめば、


少しして私の視界がうっすらと暗くなる。



どうやら、その暗さは湊くんもその場にしゃがんだからできたもので




「……………………」




フォークを取ろうと伸ばした手が湊くんの手によって掴まれると、




「………冷たいですね。」




そのままギュッと包み込まれた。



心配そうに、


私の少し赤くなっている手を見つめる彼。




「え……み、湊くん…?」




湊くんの突然の行動にビックリしたのは言うまでもない。



優しく包み込まれる私の手は、

湊くんの手によってだんだんと温もりが戻っていく。

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