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夜になるにつれてお客さんの数は増えていき、
少しバタバタとした時間が過ぎた。
結局、あの時もお客さんが来てしまったから浅川さんの試作品を食べることが出来なくて、
やっと口にできたのは閉店したあと。
「美味しい…!」
「ほんとかい!?良かっっったぁ!」
私の言葉に浅川さんは嬉しそうに笑みを浮かべた。
「コレ、あの人にも渡しといてくれるかい?」
「あぁ!了解です!!」
渡されたのは私がさっき試作品として頂いたケーキのワンホール分みたいで、
心音さんに見た目と味の確認をしてもらいたいのと、
事務所のみんなで食べて欲しいとのこと。
「月姫さん、この3日間ありがとね!すごく助かったよ~!!!
あ!そうそう!コレも持って帰って!!」
「わっ!こんなにいいんですか?」
ケーキ以外にも追加で大量のパンを受け取った私。
その量は今までの2倍、いや、3倍くらいはあると思う。
すごく嬉しいけど、さすがにこの量は食べきれないな…
(シンプルなパンは家で凍らして、他の物は腐る前にみんなに配ろう…)
両手いっぱいに浅川さんから頂いたお礼の品を持って、その場を後にする。
後ろで浅川さん夫婦が手を振ってくれているけど、
この状態じゃ振れないからペコリと頭を下げた。