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「………で、お前はなんで泣いてんだよ」

「もらい泣き…」

「は、お前にも感情はあるんだな」

「あるよ…っ!!!」




コイツ、私を何だと思ってるんだ…!!




そうギャーギャー言い合いながら部屋に戻ると、心音さんがハンカチを持って準備してくれていた。




「あらあらやっぱり泣いちゃったのね」

「う~…ありがとうございます…」




涙を優しく拭いてくれる心音さん。


ほんと、蒼空さんとは大違いだ。




「お母さんとその子供みたいだな」




ボソッと言われたそれにキッと睨み返す。




「もう蒼空さんは誘ってあげないし」

「は、何を?」

「明日皆で食べに行こうって話になってるの。だけど蒼空さんは絶対誘わない!!」

「ほんとやることがガキだよな」

「ムカつく!!!」




ほんと腹が立つ!!



なんでこんな奴がモテるのか謎で仕方が無い。




「まあいい。俺はその用事パス」

「え?」




携帯を見つめながら蒼空さんがそう言った。




「明日から俺三連休だし家でゆっくり休んどくわ」

「ふ、ふーん。」

「なんだ?俺がいなくて悲しいのか?」

「ごめんなさい。全くです」

「へぇ。素直じゃねーなあ」




ふっ、と軽く微笑む蒼空さん。


だけど目線は携帯のまま。




(そっか……明日これないのか)




何故か少し寂しい。




「そーいえば蒼空、最近どーなの?」




心音さんが蒼空さんにそう問いかけた。


私はその言葉の意味に首を傾げる。




「ああ、明日様子見に行く」

「そうね…その方がいいわ」




二人して、なんでそんな深刻そうに眉根を寄せているんだろう。


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