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「仕事まで時間あるし、どっか出掛ける?」


「い、行くっ!!!!」




それって

ちょっとしたデートってことだよね!?



分かりやすく目をキラキラと輝かせれば、蒼空さんはクスリと笑う。




(久々のデートだ…!!)




嬉しすぎてニヤニヤとニヤける私。





「その前に、ゼミのせんせーのとこ行っていい?」


「いいよ!いくらでも待つ!!」




待つことなんて嫌じゃないし!




「お前、楽しそうだな」




フッ、と鼻で笑う蒼空さんもなんだか嬉しそうで



たかがデート、されどデート。



けれど私にとっては幸せな時間なんだ。






蒼空さんの言う先生の部屋に着くと、




「じゃあ、ちょっとだけ待っといて。」


「うん!」


「………絶対、そこにいろよ。」


「分かってるって!絶対にここから動かない!!」


「………………」




ポンッ、と頭を優しく叩かれると


ガラッと音を立てて部屋の中に入って行ってしまった。




(心配性だなぁ…)




あの日から、離れるときは絶対そこから動くなって言葉を言われる。



きっと、前みたいな事が起こってほしくないからだと思う。



近くにいればすぐに助けられるからって。

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