request
……あの日から、優さんに一回も遭遇していない。
蒼空さんが一緒にいるから?
いや…大学に来ていないからかな。
(………ダメダメ。)
思い出しちゃダメ。
優さんのことなんて考えるな。
せっかくのデートなのに…気が重たくなっちゃう。
一瞬にして優さんのことを頭の外へと振り払う。
窓の外を見て時間潰しをしていれば、
後ろからガラッとドアが開く音。
「あ、終わったー…」
蒼空さんが出てきたんだと思った。
思ったから、振り返ったのに……
「あれ、久しぶりだね。」
「っ…優、さん……」
なんで、私が1人の時に遭遇しちゃうんだろう。
隣の部屋から出てきたのは、紛れもなく優さんで。
私を見て、驚きもせずにニコリと笑顔を浮かべてた。
「なにしてんの?」
「…………………」
「あれ、無視?」
喋りたくないんだって。
声を聞くと、
あの時の事を思い出しちゃうから…