request
「あー…桜井待ち?」
何も言っていないのに、
部屋の前で待つ私にそう声をかけてきた。
「それ以上近づいたらぶん殴りますよ…」
「すごく嫌われてるみたいだね、俺」
「(当たり前だ。)」
あんなことをしておいて、好かれるとでも思ってるのか。
「そーいえばー…」
優さんが何かを言いかけたその時。
ガラッ、と。
タイミングよくドアが開いて
「………、なにしてんの」
優さんの姿を見るなり、ギロリと鋭い目つきで睨む蒼空さんがいた。
「あぁ、ちょうどいいや」
蒼空さんの姿を見ても、特に焦る様子のない優さんはニコリと未だに笑顔で。
「ごめんね?キミの彼女に手出しちゃって。」
煽るような、そんな言い方をする。
(この人…思ってもないくせに!!)
その言葉に、むしろ腹が立ったのは私の方で。
一発殴ってやろうかと思った。
けれど、蒼空さんはそんな私の腕を掴み
「挑発に乗んな。俺の後ろにいろ」
小声で私にそう言う。