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その言葉を聞くと共に、私達の隣を通り過ぎて行った華さん。




歩くたびにヒールの音が廊下に響いて、


あぁやっぱり大人っぽいなぁ…なんて見惚れていれば。





パァアンッ!!!





凄く大きな音がした。




えっ、なに?

何か爆発した?




そう思っても仕方がないくらい、

それはもう大きな音で。



その音がどこから聞こえたかなんて、すぐに分かった。




だって、目の前で片頬を真っ赤に染める優さんの姿があるんだもん…




「うわ…」なんて私の隣から声が聞こえた。


さすがに蒼空さんもその痛そうなビンタに引いているようで、顔を歪ませている。




「最っっっっっ低!!!!」




はぁっ…と息を切らすほど大きな声で言った華さんは、手をワナワナと震わせていて



手、大丈夫なのかな…と心配になった。




「私、この間言ったじゃない!!優に絡まれた時に!」




"絡まれた時"



その言葉に、この間2人を目撃した時の事だと分かった。




「優の手伝いなんていらないって!!


自分なりの努力をするからって言った!!


なのに…なんで……


余計なことしないでよっ…!!」




震えるような声。



声のトーンがさっきと違い、


私達に背を向けているから表情は見えないけれど




「っ……」




戸惑っている優さんの顔を見て、


華さんが泣いているんだと気づかされる。

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