request




_________________





「はぁっ……」


(どこに行ったんだろう……)




優さんを置いて、私も2人の後を追った。



どこに行ったのかなんて全くわからないから、とりあえず大学内を探す。




(……、………この声…?)




するとどこからか声が聞こえて、その場所へと向かってみれば、2人の姿が見えた。





「はぁっ……いたっ……」





けど、なんだか邪魔しちゃいけない気がして


身体が勝手に動き、物陰へと隠れる。




盗み見は良くないと思う。




良くないと分かってはいるものの…


なんだか心配だった。




華さんがさっき好きだと言ったから。


………蒼空さんのことを。


だから…気になっちゃって。





物陰からこそっと覗くように2人の様子を伺う。





少し近いこの距離。


2人の話し声はしっかりと聞こえた。





「本当は…卒業式の日に言うつもりだった……その日に言いたかった…!

蒼空のことが好…っ………」





その瞬間、

蒼空さんが華さんの口元に手を当ててー




「ちゃんとその日に聞くから。だからもう何も言わなくていい」


「っ…………うぅ…」




ポロポロと涙を流す華さんの背中をポンポンと優しく叩いてあげている蒼空さん。



それはきっと、

落ち着かせるために。

< 377 / 660 >

この作品をシェア

pagetop