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すぐにあんな事ができちゃうから、モテるんだと思った。



たったそれだけのことなのに、

チクリと胸が痛む私は独占欲が強いのかもしれない。




……私以外の女の人に優しくしないで。




こんな時にそんなこと思ってしまうなんて、最低だ。



私が蒼空さんの立場だとしたら、きっと私だってそうしてる。



当たり前のことをしているだけなのに、

それでさえも嫌だと思ってしまう私を殴ってやりたい。



……こんな自分に嫌気がさす。




(何か…飲み物でも……)




身体中の水分が全部無くなってしまうんじゃないか


それくらい泣いている華さんを見て、

何か飲み物を買いに行こうと思った。




………だけど、それは単なる理由で。




本当は、


これ以上嫌な気持ちになりたくなくて


この場から離れたかったから。




しゃがんでいた身体を静かに立ち上がらせようとする。



こっそり見ていた事がバレないように


物音を立てないように。



……そう頭では分かっているのに。




「っ、のわっ…!」




珍しくスカートを履いていた私は、立ち上がろうとした瞬間にスカートの裾を踏んでしまい、転倒。




ドテーンッ!!!




なんて大きな音を立てた。





………ああもう




(鈍臭いって私……)




後ろから痛いほど視線を感じるけれど、


それが誰からの視線なのか見なくても分かる…

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