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「イタタタッ………」




転倒した時、顔面からいってしまったからか、額がすごく痛い。



ヒリヒリと痛むソレに顔を歪ませていれば




「……大丈夫?」




心配そうに、私の顔を覗き込む華さんが隣にいる。




ベンチに座っているのは私と華さんだけで


蒼空さんは何か飲み物買ってくると行ってしまった。




………正直気まづい。




(私が買いに行くって言ったのに………)




今のこの状況を避けたかったから。



けれど「これ以上転けられると迷惑だ」って、行かせてくれなくて。



そう1日に何回も転ばないし……




「だ、大丈夫です…!慣れてるので!」


「そう…?」




ああ、ほら……



華さんだって気まづそうにしてるじゃんかよぉ…




(何か会話を……)




無言になるのが嫌で


頭の中で必死に何か話せることはないかと探すけど


出てくるものは全てさっきの出来事のこと。




(でも…嫌な気持ちにさせちゃうよね…)




となれば他の話題を……




「………ごめんね、こんなことになっちゃって…」


「っ、いや!謝らないで下さい…!」




けれど、その話題を持ち出したのは、華さんからだった。

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