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「華さんがいると思ってなかったんで、正直そこが1番驚きました……」


「うん…。私もゼミの先生に用があって、元々部屋にいたの」


「そう…だったんですか……」




話を聞いていると


どうやら、蒼空さんが部屋を出る時に優さんの声が聞こえたらしい。




「声が聞こえた時、私も外に出ようとしたんだけど…

まだ中にいろって蒼空に言われちゃって…ずっと部屋の中から聞いてた。」




その瞬間、


華さんが顔を俯かせたから


また泣いてしまうんじゃないかと思って、慌ててハンカチがないかとポケットを探るも




「………あの野郎」


「………ん?」




今、凄く口の悪い言葉が聞こえたけど…?



誰からだ?っと周りを見渡す。


けれど、近くにいるのは華さんしかいない。




(………いやいやいや、まさか)




あの華さんが、そんな言葉遣いしないよね。


そう勝手に納得させるも




「……ボコボコにしておけばよかった」




あ、あれ~…?



いつもとは違う言葉遣い。



華さんって意外と口悪いんだと気づいてしまった。




そんな華さんがパッ、と顔を上げたかと思えば


恐る恐ると私の顔を見る。




「いや……今のは違うくて……」




どうやら、不意に出てしまったその口の悪さを聞かれて焦っているらしい。

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