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式も終わり、学部ごとに分かれて教室へと向かう。
この団体の中にあの人がいないと分かってはいるものの
なぜかその人を探してしまう私がいた。
違う学部だって、知っているのにね。
(まあいないよね……)
少し、浮かない気持ちになった。
学部説明も終わり、
私もこの時に何人か友達はできた。
話しかけてきてくれる子が沢山いて、これからの大学生活に自信を持てた。
絶対楽しい4年間になるだろうと。
その後、友達はみんなサークル紹介を見に行った。
私は元からサークルに入るつもりがなかったし、
しかもこの日、間違えてバイトを入れてしまっていたから。
帰るにしても、また、雨。
(朝の晴れ予報は一体……)
違う日のものを見ていたのかもしれない。
(また誰かに声をかける…?)
キョロキョロと周りを見渡せば
「あっ、」
少し奥の方に、彼の姿。
階段の所で1人でいる。
「やっほー」
話しかけるのに緊張はしなかった。
会えて嬉しいという気持ちの方が大きかったから。
そんな彼は、誰かを待っているような感じで
「誰か待ってるの?」
思っている事をそのまま伝えた。