request
「うん。よく分かったね」
「なんとなーく、そうかなって!」
「んー。でももう待つ必要なくなった」
「あ、そうなの?」
待ってた人が来たのかと思って、周りを見渡した。
「キミを待ってたから」
その言葉に、驚いてしまったのは事実で。
「………え、私っ!?」
「そ。キミ」
ニコリと笑う、彼。
その目は今朝と同じ、優しい目。
(待ち合わせなんてしてたっけ……)
いやしてないよ。絶対してない。
してないけど、
待っててくれたことが、なんだか嬉しかった。
「なんで待っててくれたの?」
「だってキミ、傘ないでしょ。帰りどーすんのかなーって思って」
それでわざわざ…?
めちゃくちゃ優しいなこの人……
そう思わなくても、
初めからそう思っていたじゃん私。
この時、
サークル紹介に行かなくて良かったなぁ、とか
この後バイト入れてて良かったなぁ、なんて
そんな事を考えてた。
だって、今頃こうやって一緒に帰れていなかったんだから。