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まだ講義が始まる前、

全学部が集まるこの教室はとても広い教室で。




響き渡る話し声。



人が多いのだから仕方がない。



いつもなら何も感じないこの空間だけど、今の私には耳元で大きな声で話されているみたいな

本当に大きく聞こえた。




頭がガンガンする。




途中、これはやばいんじゃないかと思った。



熱があるのでは、と。



いつもの席に座るも、だらける身体。

ちゃんと座れない。



身体が自然と机に突っ伏した。



友達が心配そうに声をかけてくれてる。



けれど、その声に返す気力はない。



「ハァッ……」と口から出る吐息は、とても熱い。




…その時だった。




「華。」




私を呼ぶ声。



ソッと頬に触れる手。




「医務室行こう」




気づけば、優に抱きかかえられていたと思う。




周りからの視線を感じるけれど


今の私にはその視線すらも何も感じなくて




ただただ思うのは


しんどい、苦しい、喉が痛い


それだけだった。

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